岩手県西和賀町が、赤字に陥っている町営温泉7施設の民間移行を目指して実施した売却公募が、不成立に終わった。10月末の期限までに買い手が見つからなかった。町は運営継続を目指し、今後は地元自治会などと譲渡協議を進めるが、引き受け手が決まらない場合は廃止か温泉以外としての活用も検討する。
観光ニーズの変化や人口減で利用が減り、年平均1億円以上の赤字が続いていたことから、町は町営温泉7施設について8月から町内の企業・団体を対象に売却先の公募を始めた。しかし、一件も応募がなく、9月末からは対象を町外事業者にも広げていた。
売却価格0円の施設もあったが、いずれも築後20~40年。改修費が5億円以上かかる施設もあった。5年間は温泉として運営することが条件で、取得意思を示した業者は2社あったが、結局は辞退したという。
町観光商工課によると、個人宅や企業の保養所、老人施設などへの転用の問い合わせは多数あったという。だが、佐藤太郎課長は「住民にとっては温泉は大切な資源で、まずは地域で自主運営できないか可能性を探りたい」としている。ただ、来年3月までに譲渡先が決まらない場合は「温泉以外の活用も含めて検討していく」としている。(溝口太郎)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル